「健斗殿は、魂だけになって下さい。あなたならできるはず。そしてサーヤ姫のどこかに乗り移るのです。四人で一緒に、私達の世界のサーヤ姫の元へ飛びたいと念じれば、可能なはずです」
……頭がついていかない。
健斗君が乗り移るって、いったいどういうこと?
「魂だけになるってことは……もうちょっと準備が必要だな。うちの両親にも根回ししとかなきゃならないし。ちょっと母屋へ戻るから、沙也ちゃんは自称王子様達と会話でも楽しんでいて」
健斗君は一瞬、難しい顔をしてから、ぎゅっと両手をグーにして上を向いた。そして。
「大丈夫。今より悪いことにはならないから」と言い残して行ってしまった。
健斗君が離れから出てすぐ、私は両肩の王子様達にお願いした。
「ねえ、王子様達、私のことは沙也って呼んで欲しいな。私はただの一般人で高校生なんだから」
「うむ……確かに」