「沙也さん、健斗さん。本当にありがとうございました」

「私の方こそありがとう! サーヤ姫に会えて良かった。大事なこと、たくさん教えてもらったよ」


 それでも、元の世界へ戻る前に、もっとおしゃべりしたかった。

 サーヤ姫には、今までの分、沢山幸せになって欲しいって伝えたら、サーヤ姫も私の幸せを願っていると……。

 そんな感傷に浸っていると、また健斗君がいらないことを言い始めた。


「沙也ちゃんはサーヤ姫に、余計な知識を植え付けてたよな」


 健斗君のことを『変態』呼ばわりしたこと、だろうか。

 それともサーヤ姫が心配していた、マスターの『カワイコちゃんに弱い』ところについての対応策について、だろうか。

 実はサーヤ姫から、舘の可愛いメイドさん達が、マスターに色目を使うのでどうしたら良いか、なんていう相談も受けていた。