「……聞こえるか、沙也。無事に終わった」
ほっぺたを軽くなでられて、私は深い眠りから覚めた。
一番先に目に入ったのは、金と白金の目、だった。
マスターが、心配そうに私の表情をじっと見ている。
「サーヤ姫は?」
隣のベッドを見たら、すでに起きていたサーヤ姫も私を見ていたらしく、ばっちり目が合った。
「私は、大丈夫ですよ」
「今のところ、うまくいってるようだ」
マスターが、私とサーヤ姫のベッドの間で、満足そうにほほえんだ。
「移植した後は、拒絶反応に気をつけて、しばらくの間安静にしていること。沙也ちゃんも、普通のドナーと同じように、最低四日は安静にしないと」
健斗君は宿り主の私より先に起きていたらしい。