そして、健斗君は、骨髄移植が私たちの世界でどのように行われているのか、マスターとサーヤ姫に一生懸命説明した。

 健斗君が説明している間、私は仁王立ちしたまま、右手首を顔の前に出すっていう、ちょっと笑えるポーズでいるのだけれど。

 やっと人面痕の健斗君にも慣れてきたけれど、どうにも扱いにくいことがある。

 それが、こういうシリアスな場面だったりする。

 真面目な話をしなきゃならないのに、思いっきりシュールで笑えるシチュエーション。

 本人は、果たしてそれに気づいているのかいないのか……。

 健斗君の丁寧かつわかりやすい説明が始まった。


「人間の体の血液は、骨から作られます。元気な血を……えっと、口で説明するのは難しいな! 絵も描けないもんなあ、今のオレ。沙也ちゃん、腰に手を当てて。牛乳一気飲みする時のあのポーズだよ! そう、この辺り。腸骨って言って、ここが人間の体で一番大きな骨です。ここから『元気な血の基』を抜き取ります。基本、全身麻酔……意識も痛みも無くした状態でそれは行われるのです……」