あっけにとられる私とマスターに向かって、健斗君は興奮した様子で語り掛ける。
「沙也ちゃんとサーヤ姫は全く同じ体を持っているということが本当だとしたら、白血球の型も一致する。つまり、骨髄バンクに頼らなくても、ドナーがいて治療できるってこと」
「確かに!」
やっと意味が解った私も、それに同意する。
「魂を入れ替える必要なんてない。骨髄移植(こつずいいしょく)が成功すれば、サーヤ姫は元気な体になる。限界まで治療したって言ってたし。移植の場合も、ドナーが見つかり次第、限界まで治療するはず。さあ、マスター、どうしますか?」
マスターは思い描いていた治療法とちがうことを提示されて、とまどっているようだったけれど、私の目をじっと見て、ゆっくり答えてくれた。
「サーヤと沙也がそれで良いのなら……。しかし、そんな事で本当に病気が治るのか?」
「オレ達の世界では、魂を入れ替える方があり得ないんです!」