「……ねぇ。一人で盛り上がってるところ悪いんだけど、あんた何しに来たの? 突然やってきて話しかけられても、全然訳が分からないんだけど」
瞬間、水を打ったような静けさが訪れる。やってしまった、と思っても、もう遅い。一度口から飛び出した言葉は、なかったことになんてできないのだ。
いつもの癖で、冷たい言葉を浴びせてしまった。後悔は先に立たないし、覆水も盆に返らない。初対面の人にもこんな口を利くようになるなんて、私はいよいよだめかもしれない。前はもっと、優しさとか思いやりを持ち合わせていたはずなのに。ここに収容されてから、そんな感情とはおさらばしてしまったんだろうか。
「へぇー、そういう言い方するんだ。友達を失くすのが得意っていうのは、あながち間違いじゃないのかな」
皮肉るように言った女の言葉が、胸を貫く。傷口を深くえぐられているみたいで、脳内の自分はこらえきれずにもがいている。どうして知っているんだろう。この女は、一体。
「……あんた、何者?」
待ってました、と言わんばかりに綺麗に笑う女。真夜中の病院と得体の知れない美しいものの組み合わせには、一種の恐怖を感じる人もいるだろう。でも、不思議とそんな気はしなかった。月の見えない夜に、自らが月であるかのような淡い輝きを放っているこの女は、とにかく目が離せなかった。
瞬間、水を打ったような静けさが訪れる。やってしまった、と思っても、もう遅い。一度口から飛び出した言葉は、なかったことになんてできないのだ。
いつもの癖で、冷たい言葉を浴びせてしまった。後悔は先に立たないし、覆水も盆に返らない。初対面の人にもこんな口を利くようになるなんて、私はいよいよだめかもしれない。前はもっと、優しさとか思いやりを持ち合わせていたはずなのに。ここに収容されてから、そんな感情とはおさらばしてしまったんだろうか。
「へぇー、そういう言い方するんだ。友達を失くすのが得意っていうのは、あながち間違いじゃないのかな」
皮肉るように言った女の言葉が、胸を貫く。傷口を深くえぐられているみたいで、脳内の自分はこらえきれずにもがいている。どうして知っているんだろう。この女は、一体。
「……あんた、何者?」
待ってました、と言わんばかりに綺麗に笑う女。真夜中の病院と得体の知れない美しいものの組み合わせには、一種の恐怖を感じる人もいるだろう。でも、不思議とそんな気はしなかった。月の見えない夜に、自らが月であるかのような淡い輝きを放っているこの女は、とにかく目が離せなかった。



