[side 絢斗]



『仲良くしてください』


そう言って頭を下げた静音のポニーテールがフワッと揺れて、ドキッとしてしまう。


あー可愛いな。


『誰よりも仲良くして欲しい』


なんて、すごくわがままで図々しいことなのに。静音が頬を赤くしながら頷くもんだから、期待しちゃうじゃん。


「ホント、すごく似合ってる」


「あんまり…見ないでっ」


そう言って恥ずかしそうに目をそらす静音だけど、その仕草で俺の心は余計乱れてしまう。


「こっち見てよ、静音」


オールを離した手は、スーッと静音の少し冷たくなった手を包んだ。


反応がいちいち可愛くて、エスカレートしてしまう。


新しい静音がもっと見たい。


みんなの知らない彼女を、俺だけはちゃんと覚えていたい。