「あ!アヒル!」
「本当だ〜」
「可愛い…」
ボートを漕ぎながら、ゆっくりと池の周りにいる生き物を眺める。
なんか癒されるなぁ。
そして…正面にはボートを漕ぐ、柊くん。
絵になる。
ジャージでボートに乗ってて絵になるなんて、きっと柊くんくらいだ。
「静音」
池や周りをグルグル見ていると、オールを漕ぐ手を止めた柊くんが私の名前を呼んだ。
「なんでしょうか…」
若干、あの柊くんに名前を呼ばれていることに慣れているのが怖い。
そして、柊くんの口から何を言われるのか怖い。
いつ、その目をそらして「もう遊びは終わり」って言われちゃうのか。不安だ。
バカみたい…。
「すっごい似合ってるよ、その髪」
「えっ、」
全く思ってもなかった柊くんのセリフに私は目をパチパチとさせる。



