「あぁ、いいよ。じゃあお昼ね」
「アリサやったじゃんっ」
「う、うんっ。ありがとう。柊くん」
高野さんはホッとした顔をして軽く会釈して、グループのみんなと広場へ向かった。
高野さん…本当に柊くんのこと大好きなんだな。
彼女でもない私が隣を歩くなんて、他にも柊くんを好きな子たちが見たら気持ちよくないに決まってる。
「柊くん…」
みんなが居なくなって、静かに彼の名前を呼ぶ。
なぜか急に不安になった。
すぐにでも柊くんがどこかに行っちゃいそうな気がした。
─────ギュッ
っ?!
まるで、私の気持ちを察したみたいに。
柊くんは黙ったままだったけど、繋いだ手を優しく握り返した。
「行こっか」
柊くんのその声に頷いて、私たちはボート乗り場の方へ向かった。



