「静音」
「は、はいっ」
ボソッと囁かれた声に大げさに反応してしまう。
「これ終わったらさ、乗ろう。ボート」
「あ、うんっ。私でよければ…」
柊くんはどうして、私のことをかまってくれるんだろうか。
誰も興味ない私に、どうして近づいてくれるんだろうか。
そういえば…。
「柊くん、乗り物酔いするのにボート乗っても大丈夫なの?」
私がそう聞くと、柊くんは「え、あぁ…」と曖昧な答え方をしてこめかみを掻いてから、
「静音となら大丈夫」
「な、っ、、」
また柊くんはそういうことを…。
柊くんにとっては何ともないことでも、私はすぐに嬉しくなっちゃうんだから。
ひどいよ…。



