学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます

[side 鈴香]


「いいの?行ってこいなんて言ったら確実に柊に取られちゃうよ」


洋菓子専門店 kisekiから出て、教室の窓から後夜祭のライブを見つめていると、後ろからそんな声がした。


「私がそう言わなくたって、あの2人はいつか必ずそうなる運命でしょう。っていうかなんでいんのさ。土田」


後ろを振り返らないままそう言う。


「なんでって…俺がたまたまあの人たちの会話聞いていたから緒方が逃げた理由がすぐにわかったんだから…」


「感謝の言葉ぐらい述べろって?」


「そういうわけじゃねーけど。高城が柊に嫉妬するのわかるよ」


土田はそう言って、私の隣へ並んだ。


「何が言いたいの」


わかるってなんだよ。


女の子に思わずキスしちゃって、恋愛感情なのかただの行きすぎた友情なのかわからないこの感情がわかるってことかよ。


「…俺じゃダメかな」


「はい?」


「俺は、緒方に嫉妬するよ。女子に嫉妬するなんてどうなのって思うけど…それくらい余裕ねぇ」