「柊くん!」
私のその声に、彼は体をビクッとさせてからこちらを見た。
どうしよう…急に緊張してきた。
走ってる間、会いに行かなきゃで頭の中いっぱいで、なんて言うのかは考えてなかった。
「…静音、よかった…来てくれた」
そう言って立ち上がった柊くんに、私はゆっくりと近づく。
「柊くんっ!聞いてもらってもいいですか!」
もう泣きそうなのはかっこ悪すぎる。
だけど…伝わるかわからないけど。
「うん」
あんな風に突き放したのに。
柊くんは笑顔でそう返事をしてくれた。
それがまた、胸をキュンとさせて、やっぱり好きが溢れる。
「人と関わるのが苦手で、消極的で、そんな自分がずっと嫌だった。みんなみたいにキラキラしたいけど無理だって」
「うん」
「だけど、柊くんが話しかけてくれたあの日から、変わったの」



