人生でこんなに走ったことないってくらい、猛ダッシュで駆け抜けた。
「はぁ…はぁ…はぁ」
学校の校門に着き、息を整えながらポケットの中のスマホに手を伸ばす。
鈴香ちゃんからの着信が3件と…
柊くんから、着信が1件。
柊くんのいるところ…。
校舎の裏からは、軽音楽部のライブの音が聴こえてきて大盛り上がりなのがわかる。
私の足は自然と、駆け出していた。
『いただきます』
そう言って、私が毎日お弁当を食べている場所。
初めて彼が、話しかけて来た場所。
……いた。
月明かりに照らされた彼は、いつものかっこよさを数倍上回っていて、思わず見惚れてしまった。
よし、言わなきゃ。
私は、大きく息を吸って吐いて、もう一度吸った。



