「静音、恥ずかしいんだ?」
「っ、あんまり慣れてないので…」
「何それ、キュンキュンする」
っ?!
キュンキュン?!
いや、終始キュンキュンしてるのは私の方だし、あの柊くんの口からキュンキュン?
目の前の柊くんは少しいたずらっぽく笑っていて、なんだか教室では見ない顔だ。
「あと、俺のことも名前で呼んで欲しいな」
「…無理です」
「え、即答?なんで」
人気者の柊くんをこんな底辺女子が下の名前で呼んだりなんかしたら、絶対学校で生きられないよ。
「柊くんは…柊くんなので」
「んー。じゃあ、1回だけ」
折れないなぁ。
「お願い!」
両手をパンッと合わせて懇願する柊くん。
これはこれで、学年の王子様にこんなことさせてるなんて申し訳ない。
「じゃあ…1回、だけ」
「おっ!やった!」