「緒方さん」


「は、はい?」


突然、柊くんに改まって名前を呼よばれて首を傾げる。


「じゃなくて…」


「え?」


「静音って、呼んでいい?」


「っ、?!」


彼といると本当に心臓がもたない。
いきなりびっくりすること言い出すんだもん。


「ダメかな?」


「ううんっ!ダメじゃない、です!」


「うん。よかった。…静音」


「は、はい」


柊くんに下の名前を呼ばれてまた胸が鳴る。


「し〜ずねっ」


「…っ、はい」


「静音〜」


「っ、あんまり呼ばないでください」


「え〜なんで。良いって言ったじゃん静音」


だって…。
学校の男の子に名前を呼ばれたことなんて、人生で初めてなんだもん。