「…ね、…静音?」


「ハッ、ごめん」


鈴香ちゃんに呼ばれてハッとする。



「何よ〜ぼーっとして。教室つくよ」


「あ、うん…」



みんなの反応に怯えながら、教室のドアにかけた鈴香ちゃんの手を見つめる。


─────ガラッ



「はようー!!」


鈴香ちゃんの大きな挨拶とともに、私たち3人も教室に入った。



「高城ー!久しぶり!」


鈴香ちゃんに最初に反応したのは、増田くん。


「高城さんいなくて、学園祭盛り上がるか心配だったんだからね〜間に合ってよかった〜」


1人の女の子がそう言い出すと、周りもそうだそうだと鈴香ちゃんを囲み出す。



はぁ…よかった。



「も〜みんな私のこと大好きかよ〜」



やっぱりあれは、みんなの本心じゃなかったんだね。



「よかったね、静音」


「へっ、」


突然、耳元で静かに吐かれて、ドキッとする。


後ろに立っていた柊くんに振り返って顔を向けると、柊くんも嬉しそうに笑ってくれていた。



「学園祭、話したいことあるんだけど」


「え?」


柊くんは「だから空けといてね」


なんて言ってみんなの輪の中に入って言った。