「私…何にも知らなくて…何にも言えなくて…」
「ほら〜そんなんだから言いたくなかったの〜」
「だって…だって…」
会ったことないおじいちゃんだけど、鈴香ちゃんがあんまり優しい顔で話すんだもん。
きっと、とっても素敵な人だったんだなってわかるから。
鈴香ちゃんが、本当に大好きな人だったんだってわかるから。
どんなに手で涙を拭っても、全然止まってくれない。
「それがすごく嬉しかったよ。ちゃんと私の話を聞いてくれて、ちゃんと見てくれて、ちゃんと笑ってくれて。静音のそういう一個一個が、大好き。今だってそう。大好き」
鈴香ちゃんはそういうと、親指で私の頬につたった涙を拭った。



