「わかってたつもりだし、だから後悔しないようにってずっとそばにいた。だけどさ…私、すっごいじいちゃんっ子で。親よりもじいちゃんが世界で1番大好きだったんだ」
「……」
身内を亡くしたことない私は、大切な家族を亡くしたことのない私は、彼女に一体なんて言葉をかけてあげたらいいのかわからない。
「花火大会の浴衣、あれ、じいちゃんが私に似合うって去年の夏に買ってくれたやつなんだ。けど、一緒に着ていく友達なんていないしって諦めてたんだけど、この間、ちゃんと静音と着れた。じいちゃんにもちゃんと見せられたんだよ」
屋上から見える景色を見つめながら、鈴香ちゃんはスラスラと話し出す。
「っ、泣くなよ静音〜」
ボロボロと涙をこぼす私を見て、鈴香ちゃんが私の頭をくしゃくしゃっと雑に撫でる。



