「うちのじいちゃんの話、前にちょこっとだけしたことあるよね」


「う、うん」


鈴香ちゃんは、私の頬から手を離すと静かに話し始めた。


鈴香ちゃんのおじいちゃん。


鈴香ちゃんと教室でテスト勉強していたときに聞いたのを覚えている。



確か、入院中で、そんなおじいちゃんのためにいい点数取るんだって張り切ってたっけ。



お昼も、おじいちゃんのところに行ってるって。


あ、…入院。


思い出して、ハッとする。


今いるここは、病院の屋上。



「花火大会の翌日に死んだんだ」


鈴香ちゃんの口からはっきりとそう言われて、手が震えた。


「嘘…」


「いや、危篤状態だとは聞いていたからね。覚悟はしていた、つもりだったんだよ」


鈴香ちゃんはそう言いながら自分の左手首を右手でさする。