鈴香ちゃん…逃げちゃってごめんなさい。

今度はちゃんと、目を見て、ちゃんと話すから。


「静音?」


大好きな声が、後ろから聞こえた。


幻聴だ。


こんな時にまで、助けて欲しいだなんてわがままだ。


「なんかあった?」


幻聴なのに、すごく優しくてあったかい。


柊くんは、こんなダメな私にいつだって優しいから。


こうやって甘えちゃうんだ。



──────ギュッ


温かい大好きな匂いに包まれた。


柊くんの、柔軟剤と彼のにおいが混ざった大好きなそれが鼻をかすめる。


幻聴…じゃなかった?


「ごめん、、静音」


耳元で聞こえる彼の声に背筋がムズムズとする。


「な、なんで、柊くんがいるの…なんで、柊くんが、、謝るの」