「へっ、柊くん…」
「しーっ。バレちゃうよ」
っ?!
隣に座った柊くんが、顔を急接近させてから人差し指を自分の口元にあてた。
「っ、、!!」
ダメだよっ!そんなかっこいい顔近づけちゃったら!!!
私は、バッと顔を話してから自分の頬を両手で包んで必死に顔の熱を冷まそうとする。
「ねぇ、本当に柊くんいたの?」
「んー…すごく…後ろ姿が似てた」
「でも人いないよ?」
「だね。見間違いかも。ごめん」
女子生徒たちのそんな話し声が窓の向こうから聞こえてから少しして、ガラッと家庭科室のドアが閉まる音がした。
行っちゃったかな…。
なんか、あの方たちに申し訳なかったな。
せっかく柊くんと話すチャンスだったのに。



