「…ね、…静音」


安心する優しい声が聞こえる。


この声、大好きだ。



「しーずーねっ」


「ひゃっ!」


バッと布団を剥ぎ取られて、声を出したのと同じタイミングで目を開ける。


「うわっ!悠ちゃん?!」


「おい。うわってなんだ。うわって」


「っ、だって…」


朝から悠ちゃんがうちにいるなんて、私が小学生のころ以来だもん。


しかも、なんで私の部屋に?


「おはよう。静音」


「うっ、お、おはよう。悠ちゃん」


「おばさんが心配してたぞ。いつもは弁当作るために必ず早く起きるのにって」


「え、ママが?」


ベッドの横にある目覚まし時計を見ると、時刻は6時半を過ぎていた。


「あぁ。おばさんはもう出たよ。なんかあったか?静音が寝坊なんて珍しいじゃん。今日から学校だろ?」