「あれ?今の、柊くんじゃない?」
「え、どこどこ?」
「ほら、家庭科室の…」
っ!?
柊くんにカレー春巻きのことを伝えようと思ったら、家庭科室の外にいる女の子たちの声に遮られてしまった。
やっぱり、昨日初めて話したばかりで急に手作りのおかずなんて作ってくるんじゃなかったよ…。
きっとこれは、柊くんに春巻きを渡すんじゃないと言うお告げだ。
「緒方さん、ちょっとごめん」
「あ、はい…」
もう柊くんはあの子たちのところに行ってしまう。春巻き、ちゃんと全部1人で食べられるかな。
「よいしょっ、と!」
っ?!
柊くんが行ってしまうことに落ち込んでいると、突然、これからいなくなってしまうはずの柊くんが窓を飛び越えて、私の隣に着地した。



