「じゃあ、私はそろそろ…詳しいことはまた連絡するね静音。夜分遅くに失礼──」
「えっ、こんな遅くに一人で帰るの?」
時計をチラッと見てカバンを持つ鈴香ちゃんに、ママがそういった。
「いえ、バイト終わりはいつもこれくらいの時間に帰ってますし…」
普段、泉先生にも敬語じゃない鈴香ちゃんが、うちのママにすごく敬語なのがまだ違和感。
「鈴香ちゃんが良ければ、泊まっていかない?うちに」
ん?
ママ、今なんて?
「え、いいんですか?!」
鈴香ちゃんは目を輝かせ始める。
「おうちの人に許可とって、おっけーなら全然!私は大歓迎よ!うちに静音のお友達がいるなんて!」
いやいやいや。
待って鈴香ちゃん、待ってママ。
私を置いていかないで。



