「鈴香ちゃんのは?」


「うん。去年じいちゃんに買ってもらったのがあるんだ。去年着られなかったから今年は静音と一緒に着ようと思って」


「そっか〜!鈴香ちゃん、おじいちゃんっ子だもんね」


前に、勉強会で鈴香ちゃんおじいちゃんの話を嬉しそうに話していたのを覚えている。


って──────。


ちょっとまって。


鈴香ちゃん、今なんて言った?


『去年着られなかったから─────


今年は静音と着ようと思って』



「えーー!!!」


「ちょ、反応遅すぎかよ〜!」


え、だってだってだってだって!!


「私、着るの?鈴香ちゃんと浴衣?」


「うん。夏休み最終日の花火大会」


まるで前から決まってたみたいな顔でそういう鈴香ちゃんに、思わず固まってしまう。