「いや、急に来たいなんて私もごめん」
「ううん。全然大丈夫だよ!ほら上がって」
私はそう言って、来客用のスリッパを玄関に用意して鈴香ちゃんに履くように促す。
「この時間までバイトだったの?」
鈴香ちゃんへのお茶を用意しながら、そう聞く。お洒落な鈴香ちゃんとは真逆で完全部屋着スタイルの自分が今更恥ずかしくなる。
「うん」
そう返事した鈴香ちゃんは、もらったお茶をクビッと一気に飲んでからおかわりをもらった。
午後9時30分。
こんな綺麗な女の子、夜道をふらふらしちゃ危ないと思うんだけどな。
「気をつけてね。今はすごく物騒だから」
「大丈夫だよ。いつもこのくらいに帰ってるし」
「うん…」
だけどやっぱり心配だ。



