声をかけられた時から薄々気づいてはいたけれど、まさか…。
「傷つけないように言ったつもりだよ」
「だから結果があんな風になったじゃん」
土田は「柊は優しすぎるんだよ」と言いながら、注文したハンバーガーセットを受け取る。
土田の言うことは分かるけど、でも高野さんとは同じクラスだし、気まずい思いをするのは嫌だったから。
『柊くんのことずっとずっと、1年の頃からいいなって思ってました!よかったら…付き合ってください!』
顔を赤く染めた高野さんが、ふざけてそんなこと言っていないことくらいわかっていた。
『ありがとう。高野さんの気持ち、すごく嬉しいけど、俺、好きな人がいるから』
『緒方さん…だよね?』