[side 絢斗]


「は、恥ずかしいので、離して欲しいです」


自分で抱きしめておきながらあれなんだけれど、


彼女の濡れた肌とかうなじとか、想像以上に俺をおかしくさせる。


恥ずかしい、なんて言われてしまったら余計離したくなくなってしまう。


もっとおかしくなって欲しいのに、静音は絶対にどこかで自分にしっかりとラインを引く。


ちゃんと告白すればいいことくらいわかってる。
こんな中途半端に彼女に触れちゃいけないことも。


だけど…。


いざ告白して、振られたら。


それこそこうして関わらなくなりそうで嫌なんだ。


「柊くんっ、あの、、早く…」


だから、絢斗だって言っているのに。


「違うでしょ」


「うっ、絢斗くん」


静音の顔が見えなくてよかった。


こんなん、確実にキスしちゃってるよ。


俺は仕方なく、静音の腰から手を離した。