学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます



「あ…」


思い出した。

カラオケルームに2人で帰った時の話か。

あの時はすごく急だったし、気付いた頃には増田くんに手を掴まれたまま部屋の前に立っていたんだ。


「あれは…すごく急で…注意する余裕がなかったの…」


「それは?」


「えっ、」


顔を上げると、私の耳に視線を合わせた柊くんがまだご機嫌斜めな顔でいた。


「あ、えっと…これは…」


不意打ちで聞かれてしまって、恥ずかしくなって耳を触る。


みんなみたいになりたかったとか、恥ずかしすぎて言えるわけない。



「ああいう、人がいっぱいいるところではつけないほうがいいよ」


「……っ、」


なんで傷ついているんだろう。
柊くんの言ってることは最もだ。

私みたいな人間が今更つけたところで、自分が惨めになるだけだもん。


「…ご、ごめんなさい、もうしな───」


「他の人が…」


っ?!