学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます



そこに立っていたのは、おでこがよく見えるいつものアップバンクスタイルの増田くんが立っていた。


どうして彼がこんなところにいるんだろう。


たしか、鈴香ちゃんが帰ったから他の子とまたデュエットを歌ってたはずじゃ…。


っていうか、今、さらっと私の下の名前を呼んだよね?


思わぬ増田くんの登場に戸惑ってしまう。



「ごめん。びっくりさせた?ほら、柊がよく呼んでるからさ。真似してみた」


増田くんは爽やかな笑顔でそういうと、私の隣にちょこんと座った。


ど、ど、どうしよう。


こんな近くに男の子がいるなんて…柊くん以来だ。



「増田くん、歌は?」


「あぁ、歌い終わったよ。ちょっと休憩しに出てきた」


「あ、そうなんだ…」


どうしよう…会話を続けられない。


何かもっと…聞かなくちゃ…。


会話のキャッチボールに慣れていない私は、頭をフル回転させる。


普段は柊くんが話しかけてくれるから、困らなかったな。