「高城、どうしたんだろうな…」
「バイトじゃないかな?高城のことだからシフト入ってたの忘れてたんだろう」
立ち尽くした増田くんと土田くんがそんな言い合いをすると、
周りは「そっかそっか」とさっきのおしゃべりの続きを始めたり、曲を選び出した。
鈴香ちゃんがいない空間。
そこはやっぱり私にとって息苦しく感じた。
もう…急に居なくなっちゃうんだもん。
私は静かに立ち上がって、外の空気を吸うために部屋を出た。
ガチャ
「フー」
部屋を出ると、同じ色の同じ形をしたドアがいくつもあって、なんだか迷路に入った気分になる。
確か、1階にベンチがあったよね。
入ってきたときに見たベンチを思い出して、そこに向かった。



