「静音〜〜!顔色悪すぎるぞ!!」
へっ、
柊くんの声がして、目線を声のした方に向ける。
柊くんが、人目もはばからずまっすぐこちらを見ているではありませんか!
余計緊張しちゃうよ…。
「ネット越えればいいんだから。深呼吸」
「うっ、」
全く柊くんったら…それがすっごく難しいんだよ。
それでも、柊くんに言われた通り深呼吸してから。
よし。
ボールを上に投げた。
綺麗に手のひらに当たった感触がしたと思ったら、ボールはもう空中をゆらゆらと進んでいる。
うわっ、
ダメだ。
終わった。
絶対ネットを超えないまま落ちゃう。
少しでもこの現実から逃げたくて、
諦めかけて、目をつぶった瞬間─────。



