ゆっくりと顔を上げると、前衛に立っているチームリーダーの増田くんがこっちを見ていた。
今の声…増田くん?
増田くんが私に話しかけた?
「男子のサーブ怖いよね。今のは取れなくて当然だよ」
えっ、
びっくりして固まっていると、すぐ横の小野さんも私に話しかけてきた。
「あ、うん…ありがとうっ」
私がそういうと、小野さんはニコッと笑ってくれた。
緊張がだんだんと溶けていく。
自分が思っているより、周りの人たちは私に普通に接してくれるんだな。
「頑張れ、静音〜〜!!」
「次だ次ー!!」
何よりも…。
コートの外側で私に手を振ってる人たちに目を向ける。
今の私には、私のことを見てくれる友達がいるんだ。



