ピーーー!!
「試合開始っ」
審判の合図が聞こえてから、ボールが空中に浮かぶ。
いつもは隠れるように参加するばかりだけど…今日は頑張ってみよう。
そう思って、一歩足を前に出した時。
─────ズキンッ
そうだ…。
雑巾を絞るような痛みが突然私の下腹部を襲った。
「あ、緒方さんっ!」
うっ、嘘!
なんてタイミングの悪いっ!
名前を呼ばれた時にはもう遅くて、ボールが私の目の前で落ちた。
お腹の痛みに意識が向いちゃって、ボールから目をそらしちゃっていた。
あっ、どうしよう。
「ご、ごめ…」
「どんまいどんまい!次だ次っ!」
え…。
怖くて顔を上げられなくなっていると、どこからかそんな声が聞こえた。



