鬼の生き様


 草木も眠る丑三つ時。
歳三はひっそりと総司の部屋へと赴いた。

「…入るぞ」

総司は眠い目を擦りながら起き上がると、着物の乱れを直した。
神妙な面立ちをしている歳三に、厭な予感がした。

「どうしたんですか?」

「芹沢を斬る」

短い言葉に総司は、えっという顔をした。
呆然と現実と夢の境をさまよう。
悪い夢でも見ているようであった。

自分の頬をつねってみると、頬には軽微な痛みが走った。

夢ではなく現実なのだ。

「何故?」

総司の顔はいつものように天真爛漫な明るい表情は消えていた。


「会津藩からの命令だ」


「近藤先生は?」


「…反対だ」


その言葉を聞いて総司は安心したかのように安堵の息を吐いた。

「じゃあ私も反対です」

「会津藩に近藤さんが殺される。と言ってもか?」

万に一つ、下知に背くなればあり得なくはない話である。

「そうしたら私が容保様の首を頂戴いたしますよ。
もちろん殺される前にね」

そう言い総司はケロリとしたら表情を浮かべた。

「冗談を言っている場合じゃねえ」

そう窘められるが、冗談ではない。
総司は真面目にそう言っていたが、歳三もその事は分かっているし何より自分もそうするであろう。

「……どうして私なんですか?」

「こんな大事な任務は試衛館の生え抜き以外にゃ任せられねえ。
討手には左之助…そして源さん」

土方歳三。
沖田総司。
井上源三郎。
原田左之助。

刺客は四人と決めていた。
絶対に誰にも悟られずに、八月十八日の政変にて恨みを持った長州の残党の仕業と見せかける。

「四人で大丈夫ですか?」

「多いと逆に危険だ。
こういう時は少ねえに越した事ァねえ」

なるほど、と言うと歳三は人差し指を口元に持ってきた。
人の気配が感じる。