平山、平間、そして野口も同じ様に礼装を身につけて四人で前川邸へと赴いた。

「芹沢さん、どうしたんですか?」

四人の礼装を見て総司が尋ねた。

「愛次郎の初七日だ。
佐伯を連れて、千本朱雀に行って線香でも供えてやろうと思ってな」

「それなら私も行きますよ!」

総司はニコニコ微笑み、そう言うが芹沢は、待て。と声をかけた。

「愛次郎はワシが可愛がっていた隊士だ。
弔いはせめて身内で行いたいのだ。
沖田くん、佐伯を呼んできてくれたまえ」

そうですか、と総司は少し寂しげな顔をして頷き佐伯に声をかけに総司は向かって、佐伯に声をかけたが愛次郎の名を聞くと行きたくなさそうな表情を浮かべた。

愛次郎を斬ったのは佐伯であり、愛次郎の恋仲であったあぐりを、蹂躙しようとした男である。

しかし行かねば芹沢の機嫌を損ねる事となるだろう。
佐伯は重い腰を持ち上げた。


「愛次郎の供養の為には、お前も行かねばならんのだ」

平山の語気は殺気が篭りながら、強引に佐伯の手を取ると、

「筆頭局長の命令じゃ。付いて来い」

と芹沢はギロリと佐伯を睨みつけた。
佐伯は芹沢達に連れて行かれ、その様子を見ていた総司は只事ではないと思い、歳三のもとへと行った。

「芹沢さん、ものすごい殺気でしたよ」

「佐伯を斬るのか?」

総司は、一体なぜという顔で、歳三を見た。
全てを理解していたように歳三は、遅かれ早かれそうなっただろうと言った。

「愛次郎を斬ったのは佐伯だ」

歳三は静かにそう言った。
総司は噂通り芹沢が斬ったのだと思っていたので驚いていた。

「それに島田が、ウニコウルの根付を盗んだ男は佐伯だろう、と報告が入ってな」

ウニコウルの根付を芹沢が大切にしていたのを総司は知っている。

「止めなくていいんですか?」

「全ては自分が蒔いた種だ」

「…そうですか」

と静かに呟いた。