喧嘩慣れしているのか、それともなにか習っているのかもしれない。


俊敏な動きに勇志はついて行けず、顎にパンチを食らって後方にぶっ飛んだ。


「なにしやがんだよ!」


それを見て思わずカッとなってしまった。


喧嘩慣れしている相手に突進していくなんて無謀だと、すっかり忘れていた。


あっと思うと目の前に相手の拳が見えた。


「澪!」


勇志の声が聞こえて来る。


避けるような俊敏さも持ち合わせていない。


俺はそのままパンチをモロにくらい、気絶してしまったのだった。