真っ先に駆けつけたのは勇志だった。


大声を上げながら2年生たちに突進していく勇志。


とっさの事で身構える事ができなかった2年生が勇志のタックルをまともに受けて吹っ飛んだ。


壁に背中を押し付けるようにして座り込んでいた準也が顔をあげ、目を丸くしている。


「よってたかって1年イジメてんじゃねぇぞ!」


勇志の怒号が響き渡り、拳が飛んだ。


2年生の方が大人数だと言うのに勇志に迷いは感じられなかった。


俺は喧嘩なんてほとんどしてこなかったけれど、こうなってしまうと手伝うしかない。


手当たり次第に拳を突き出し、命中すればラッキーだ。


エイトは準也に手を貸して立ち上がらせている。


「その財布準也のだろ」


勇志が2年生の1人が持っている黒い財布を見てそう言った。


準也が何度も頷く。