「2年生に目を付けられるなんてついてねぇな」


エイトがため息交じりにそう言った。


同級生同士ならまだどうにかなる問題でも、相手が上級生になった途端に身動きが取れなくなる時もある。


クラス内で起こる出来事には目撃者が多くいるけれど、外で起こることには疎くなる。


「ねぇ、どうにかしてあげてよ」


立花の言葉に俺たちは目を見交わせた。


こんな場所でそんな相談を受けるなんて思ってもいなかった。


でも、一度見てしまったものを簡単に忘れる事だってできない。


「どうする?」


勇志が聞いて来た。


どうすると質問しながらもすでに指の骨をパキパキと鳴らして喧嘩の準備を整えている勇志。


そう言えば正義感が強いヤツだったっけ。


「モタモタしている間に準也がボコボコにされるかもしれない」


勇志の言葉に俺は頷いた。


「とりあえず行ってみよう」


俺はそう言い、走り出したのだった。