なんの前触れもなくそう聞くと、エイトが一瞬目を見開いた。


それはすぐにいつも通りに戻ったけれど、俺は見逃さなかった。


エイトの雰囲気がぎこちないものに変わっている。


しかし、勇志は俺から視線を外す事もなくキョトンとした表情を浮かべている。


「《マッドマン?》なんだそれ」


瞬きをして勇志が言う。


「勇志は知らないのか?」


「あぁ。ムービーって、映画かのタイトルかなんかか?」


首をかしげて質問を繰り返す勇志。


《U》は勇志のことじゃなかったのか?


目の前の勇志が嘘をついているようには思えなかった。


俺はエイトへ視線を向けた。


エイトはサッと俺から目をそらす。


A10は間違いなくエイトの事だろう。