「あぁ。最近ちょっと疲れててさ」


「色々あったもんね」


沙希はそう言い、開いている椅子を引っ張ってきてそこに座った。


「沙希は自分で動画とか見るんだっけ?」


「あたし? 時々だけど見てるよ」


「どんな動画?」


そう聞くと、沙希は有名な動画サイトの名前を上げた。


無料で視聴できる大型動画サイトだ。


公開されている動画の大半は他愛もないものばかりで、再生されてお金が入るということもない。


「《マッドマン・ムービー》って知ってる?」


思わず、そう聞いていた。


質問しておいてすぐに後悔した。


沙希が知っているワケがない。