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ふと目が覚めると保健室の中はとても静かだった。


池田先生がいないのかと思ってベッドを起きだすと、池田先生は書類に向かって考え事をしている様子だった。


「先生」


「あ、起きた?」


俺の声に反応して書類から顔を上げる。


「はい」


「今はまだ1時限目の授業中よ。どうする? 教室に戻る?」


そう聞かれて俺は一瞬迷ってからパイプ椅子を拝借して池田先生の前に座った。


「先生、教室の中で噂が立ってるんです」


「噂?」


「そう。山本さんは事故じゃない。他殺だって」


俺の言葉に池田先生は大きな目を更に大きく見開いて、口をポカンと開けた。