そう返事をした時、3年生の男子生徒たちとすれ違った。


「賞金一千万だってよ!」


そんな言葉に一瞬動きが止まった。


「どうする? どんな動画にする?」


「やっぱちょっとは過激じゃねぇとなぁ!」


そんな会話にあの時の光景が蘇ってきて、俺は慌てて頭をふってかき消した。


動画のコンテストなんて、他でも沢山やってるはずだ。


気にし過ぎだ。


そう言い聞かせて、歩き出す。


「今日はどんなクレープを食べようかな」


沙希が嬉しそうに話をするのを聞きながら、俺は自分の中にいる悪魔が微かに動いたのを感じていたのだった……。




END