「昨日の食堂での騒ぎは私にとっても予想外だったの。田畑準也君はイジメられっ子だったから、人よりも強く香りの効果がでちゃったのね。

それほど心の中の悪魔の存在が大きかったってこと。だけど《マッドマン・ムービー》を知っててくれたおかげで警察はほとんど動かなかった

。宿舎内が騒然としている隙を見て、私は先生方を殺して行った。もちろんそれも動画配信したわ。罪に問われないためにね」


鍵は事前に池田先生が持っていればいい。


生徒が全員校舎へ入ったのを確認してから施錠をすれば密室は出来上がる。


あとは取り付けられたカメラが勝手に動画を撮影し、《マッドマン・ムービー》に投稿される。


そういう仕組みになっていたようだ。


「もう1つ、いいですか……」


嘔吐したおかげで自分の中の悪魔がひっそりと影を潜め始めたのか、俺の声は震えていた。


目の前にいる池田先生に、いや、《U》にひどく怯えている自分がいる。


「なに?」


「山本さんを殺したんですか?」


「そうね。私が突き飛ばして殺したわ」


池田先生はこともなげにそう言った。