そう思って窓辺へ近づいた時だった。


「あああぁぁぁ!!!」


廊下から、雄たけびにも似た叫び声が聞こえて来て俺たちは振り向いた。


廊下側の窓にカッターナイフを握りしめた男子生徒が見えた。


生徒は真っ直ぐ立花へ向かっている。


動画撮影に夢中になっている立花は、咄嗟には反応できなかった。


スマホから顔を上げた瞬間、立花の首にカッターナイフが突き立てられていた。


それはまるでスローモーションのようだった。


立花が目を見開き、手に持っていたスマホを落とす。


その目がこちらへ向いた。


助けを求めるように手を伸ばして来る。


男子生徒が立花の動きを見て、教室内に俺たちがいることに気が付いた。


男性とは立花の首からカッターナイフを引き抜く。


瞬間、大量の血が噴水のようにあふれ出し、立花はその場に倒れ込んだ。


「まずい、飛べ!!」


俺は咄嗟にそう叫んでいた。


男子生徒が真っ赤に染まったカッターナイフを振りかざしながら教室に入って来る。