宿泊合宿ではなんでも自分たちでやらなければならない。


それは面倒くさい事だった。


食堂に集められた俺たちは簡単なカレーライスを作ることになっていた。


普通、こういうのって外でバーベキューとかだろ。


なんて考えるのだけれど、遊びじゃないんだから仕方がない。


慣れない包丁に苦戦している男子生徒たちを見て、女子生徒たちがクスクス笑っている。


それでも悪い気はしなかった。


明日になればその綺麗な顔も恐怖と涙でグチャグチャになるのだ。


それを想像しながらトマトを切ると、まるで柔らかな人間の脳味噌を切っているような感覚になった。


今はこれで我慢しておこう。


そう思った矢先だった。


突然一部の女子たちの悲鳴が聞こえて来て顔を上げた。


食堂の奥でカレーの下ごしらえをしていたチームが騒然としている。


よく確認してみるとその中に準也の姿が見えた。


準也は手に包丁を握りしめて女子たちを追いかけているのだ。