「それって、沙希にまだ目的がないからじゃないか?」


目的がないまま進んでいくのは難しい。


流れに身を任せていたって、どうしても疑問は浮かんでくる。


「そんなことないの。言ってなかったけど、あたし保育士になりたいの」


その言葉に俺は目を見開いた。


そんな夢を持っていたなんて初耳だった。


「そうだったんだ」


「うん。だからねそのために頑張っているはずなんだけど、時々どうしてもわからなくなっちゃうの」


沙希はそう言ってため息を吐き出した。