瀕死状態の犬がこちらへ視線を向けている。


その目玉にカッターナイフを近づけていく。


犬が逃げようとしたのか、微かに動いた。


けれどもう立ち上がる事もできない。


俺は犬の目玉と瞼の間にカッターナイフを挿入した。


グリッとした固い目玉の感触が伝わってきて、犬がもがく。


俺はその体を肘で押さえつけて、カッターナイフをクルッと一回転させた。


丁度スプーンでプリンをすくう時の要領だ。


カッターの先が何かにぶつかり、ガリッと固い音を立てる。


そのまま引き抜くと犬の目玉がゴロリと落ちた。


空洞になった箇所から血が流れ出し、もう片方の目がうつろに俺の姿を捕らえていた。