片手にはスマホを持っているから、撮影しづらい。


動画を撮っている奴らはいつも複数人なのかもしれない。


そんな事を思いながら、無防備な犬の首にカッターナイフを力の限り突き刺した。


犬は大声で鳴くかと思いきや、声も出さずに体を跳ねさせた。


自分がどんな状態になっているのか気が付いていないのか、首に走った衝撃がなんなのか確かめようとグルグル回りはじめる。


だけど首の上部に突き立てられたカッターナイフを抜く事はできない。


それを見て薄ら笑いを浮かべながら動画を撮影した。


俺はカッターナイフを勢いよく引き抜いた。


それは自分が想像していたよりもはるかに深く突き刺さっていたようで、抜くと同時に大量の血が溢れだした。


そこでようやく犬が小さく鳴いた。


茶色くてフカフカした毛がどんどん赤色に染まっていく。


犬はヨタヨタと歩き回っていたかと思うと、途端に横倒しに倒れた。