どうにか呼吸を整えて再び自転車に乗ろうとしたとき、沙希から電話が来た。


「もしもし?」


そう言う自分の声が少し震えていた。


『澪、今電話大丈夫?』


「あぁ、大丈夫だよ」


『本当に? なんだか声が震えてない?』


どんな些細な変化でも見逃さない沙希に、小さく笑った。


笑ったことで少しだけ気持ちが落ち着く。


「なんでもない。買い物に行くか?」


そう聞くと元気な声が返って来た。


『うん! そろそろ用事が終った頃かと思って電話したの』


「そっか。すぐに出られるのか?」


『大丈夫だよ』


「それなら、さっきのコンビニで待ち合わせしよう。俺もすぐにつくから」


そう言って、俺は電話を切ったのだった。